八王子城の怪談

 八王子城の城跡に落武者とかの幽霊が出る……という話を聞いたことはないだろうか?




 ……すんません。白状します。その噂、我々が悪いのです。


 今を去ること十数年前、ウチのサバゲーチームは八王子城跡を夜戦フィールドとして使っておりました。

 ある時、当時携帯電話なるものは個人が使えるような値段ではなかったので、深夜にドイツ兵完全装備の男2名が、後からくるメンバーの家に電話を掛けに行きました。
 ちょっと出た先にあった、電話ボックスにです。

 電話ボックスには2人は入れませんので、一人が中で電話を、もう一人はちょっと離れて立っていたそうです。

 すると二人連れの男女(少なくとも片方は女性)が歩いて来たのですが、急に立ち止まり、盛大な奇声を上げ、もの凄い勢いでいなくなってしまいまいました。
 後、電話ボックスに『軍服姿の幽霊が出た!』という噂が広まったそうでございます。
 
 さらに別の日、いつものように城跡でドンパチをしておりますと、男女が遊歩道(でいいのか?)を歩いてきたので、離れるまで休戦となりました。
 過去に、男女ハァハァ事件(過去ログ参照)というのがありましたので、通過するのであれば余計な声は掛けず、通過するのを待つことに取り決めてあったのです。

 どうやらこの男女、肝試しだったらしくおそるおそる歩いております。
そのうち、娘さんがこうのうたまいます。

「ねぇ、なんかいるよぉ」
「いないってば」
「やだ、この道のまわり、なんか気配がするよ……かえろうよぉ」

 勿論、彼等が歩いている道を挟んで推定数10人が、銃を片手にブッシュの中に身を潜ませ、通過するのを今か今かと待ち望んでます。気配がするのは当然のことでありましょう。

 そのうち、女性は座り込んでしまいます。

「ねぇ、もおかえろうよ。なんかへんだよー」

 こりゃあかんと思って、一声掛けることにして石垣の影に潜ってた奴(影にはいると肉眼じゃ解らないんだ、コレが)が立ち上がり、「あのぉ〜」と声を掛けた瞬間!

 これまた盛大な奇声を発して、脱兎のごとく走り去ってしまわれました。


 つーわけで、ごめんなさい。